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車両管理者に選任されたら行うべき7つの業務

もし自社の従業員が運転する社用車が事故を起こしてしまった場合、従業員の管理体制が疑われるなどの社会的な評価が下がる他、損害賠償を支払う義務が生じた際に使用車責任として会社がその費用を負担しなければならない可能性があります。

こうした自体を防ぐため、経営者は従業員の安全運転を徹底させるため、社内で車両管理者を任命します。

とはいえ、いきなり車両管理者に任命されても何を目的に、どんなことをすれば良いのかイメージが湧かない人もいるかと思います。 車両管理者の概要と業務内容について詳しく解説します。

そもそも車両管理者とは?

車両管理者とはその名の通り、「会社や事業所内の車両とドライバーの管理をする人のこと」を指します。なぜ社内で車両管理者を選任する必要があるのでしょうか。

会社が社用車を保有する場合、道路交通法に基づき、以下の要件のいずれかを満たす場合に限り、安全運転管理者・副安全運転管理者を選任し、公安委員会へ届け出をする必要があります。

この制度が「安全管理者制度」です。 安全管理者を選任する要件は以下のいずれかに当てはまる場合になります。

  1. 事業所ごとに自動車5台以上を保有している場合
  2. 乗車定員11名以上の車両を1台以上保有している事業所
  3. 自動車運行代行業者は、台数に関係なく営業所ごとに1人選任が必要

上記の要件を満たす会社が、社内で安全運転管理者の選任を怠った場合には「5万円以下の罰金」になります。

さらに事業所ごとに保有する社用車が20台を超えてくると、副安全運転管理者も選任する必要があります。20台につき1人を選定する必要があるため、40台なら2人、60台なら3人と保有台数に応じて選任する副安全管理者数も増えます。

参照:徳島県警察「安全運転管理者制度」

安全運転管理者になるための資格

安全運転管理者は事業所内の誰を選任してもいいというわけではありません。安全運転管理者・副安全運転管理者を選任するためには以下の条件が必要になります。

安全運転管理者

  • 年齢20歳以上(副安全運転管理者を置く場合は30歳以上)
  • 運転管理経験2年以上(公安委員会の教習修了者は1年)
  • 過去2年以内にひき逃げ、酒酔い運転、過労運転、無免許運転などの違反行為をしていないこと

副安全運転管理者

  • 年齢20歳以上の者
  • 運転管理経験者が1年以上または運転経験が3年以上
  • 過去2年以内にひき逃げ、酒酔い運転、過労運転、無免許運転などの違反行為をしていないこと

安全運転管理者及び副安全運転管理者は、事業所内における道路交通法の遵守や交通事故の防止を図る重要な役割を担うことになります。

車両管理者の仕事内容は?

それでは安全運転管理者は具体的にどのような業務を行うのでしょうか。

安全運転管理者は、社用車を使用する従業員が安全運転を心掛け、交通事故を起こさないよう、従業員に対して適切な指導を行う義務があります。

道路交通法施行規則の第九条の十が定める「安全運転管理者の業務」によれば、主な仕事内容には以下が挙げられています。

  1. 運転車の適性・技能・知識、法令順守状況の把握
  2. 自動車の運行計画の作成
  3. 危険防止のための交代運転者の配置
  4. 異常気象時における運転者に対する指示
  5. 点呼・日常点検による運転者の安全運転の確保
  6. 運転日誌の備付けと記録
  7. 運転者の安全運転指導

参照:E-GOV法令検索「道路施行規則」

運転手の適性把握

社用車を運転する従業員が問題なく運転できるかを事前に確認しておく必要があります。

例えば、従業員が運転免許を所有していても普段は運転しない「ペーパードライバー」や過去に交通事故を複数回起こしたことがある従業員は、今後交通事故を起こす可能性が高いと言えます。

安全運転管理者は運転する適性や技能が問題なく備わっているかを判断した上で、上記のような従業員がいる場合には、講習を受けさせる、適切な指導を行うなどの施策を行い安全運転の管理に努める必要があります。

自動車の運行計画

従業員が運転する車がスピード違反や過積載、過労運転などの違反をしないよう、予め運行計画を作成する必要があります。

例えば、運行計画の段階で、A~B地点まで1時間はかかる所を30分で到着するように計画してしまうことやドライバーの休息時間を考えずに行き先を設定してしまうことによって、ドライバーに大きな負担がかかってしまいます。

  • ドライバーが急がなければ間に合わない運行計画
  • ドライバーが常に運転していないと回り切れない計画
  • 過積載をしないと配送しきれない計画

は避けた上で、ドライバーが効率的かつ無駄のない正確な作業を行えるような運行計画表を作ることが重要です。

危険防止のための交代運転者の配置

ドライバーが長時間の運転によって疲れてしまい、注意散漫になることによって安全な運転を継続することができないと予測される場合には同じ車両に運転の交替要員を配置することが必要です。

厚生労働省による「トラック運転者の労働時間等の改善基準ポイント」によれば、連続運転時間は4時間が限度とされており、4時間以内または4時間経過直後には運転を中断し30分以上の休憩を確保しなければならないと記されています。

そのため、連続運転時間に4時間以上かけないと達成できない運行計画を作成した際には運転の交替要員を配置する必要があります。

参照:厚生労働省「トラック運転者の労働時間等の改善基準のポイント」

 

異常気象時における運転者への指示

台風や地震などの自然災害によって安全運転の確保に支障が出ると予測される場合には、安全運転管理者が責任をもってドライバーに指示を出さなければなりません。

場合によっては、その日の運行を延期にする判断を下す場合もあるでしょう。

また、ドライバーが運転中に自然災害が起きた場合は、すぐさま各ドライバーの位置を確認し、

  • 車両が危険な状況に位置していないかを確認
  • 危険な状況にある場合は的確な初動対応を指示
  • 場合によって運行計画に変更する

など臨機応変な対応も必要となります。

点呼・日常点検による運転者の安全運転の確保

安全運転管理者は、ドライバーの運転前、数日間に及ぶ長期間の運転中、運転後に点呼を行う必要があります。

日常的に点呼を行うことで、ドライバーの健康状態や酒気帯びの有無、疲労度や睡眠不足などの状況を把握し、安全運転に支障をきたす条件にないかを確認します。

さらに点呼をした内容は記録しておき、その後1年間保存しておく必要があります。

2022年4月からは運送業者である「緑ナンバー」だけでなく営業車両などの「白ナンバー」の車を運転する場合にもアルコールチェックを義務化するよう、道路交通法が改正されています。

また2022年10月からは目視によるアルコールチェックではなくアルコール検知器を常時有効に保持することが求められています。

運転日誌の備付けと記録

安全運転管理者はドライバーに、運転者名・運転の開始/終了の時刻・運転距離・その他自動車の運転状況を把握する必要事項を記録させる必要があります。

運転日誌があることによって、ドライバーが長時間運転していないか、休日のプライベートでも社用車が使用されていないか、車の損傷チェック等をドライバー本人が行っているかなどを確認できます。

運転者の安全運転指導

ドライバーに対し、適切な安全運転の指導を行うことも安全運転管理者の役割です。

日々の点呼や運転日誌から、安全運転が出来ていないと判断されるドライバーには安全運転管理者が指導し、未然に不慮の事故を防がなければなりません。

時には講習会を開催することや運転の指導を外部に委託することでドライバーの安全運転に対する意識を向上させます。

もし安全運転管理者に選定されたら…

ここまで紹介してきたように、車両管理者はやるべき業務が多い上にドライバーの管理や安全運転に関する責任が重いなど重要な役割を担っています。

もしあなたが安全運転管理者に選定されても、1人でこれだけの業務を管理することは難しいかもしれません。

例えば

  • ドライバーの現在位置が分からず、毎回電話で位置を確認する必要がある
  • 急な災害が起きた際、全ドライバーの状況確認を素早く行えるかが不安…
  • 安全運転の指導をしようにも、客観的なデータがないためドライバーに強く指摘しづらい…

こうした悩みが出てくるかもしれません。こうしたお悩みを解決するため、車両管理においてはGPSを活用した「車両動態管理システム」が存在します。

車両管理にはGPSを活用した車両動態管理システムがおすすめ

弊社の提供する車両動態管理システムは、GPSトラッカーを車両のシガー電源もしくはヒューズボックスに取り付けるだけでドライバーの位置を把握できるシステムです。

給電タイプのためGPS端末の定期的な充電は必要ありません。

また、システムと聞くと導入までに時間がかかりそうなイメージがありますが、車両の管理画面は指定されたURLからご確認いただけるため、専用ソフトのインストールも不要です。

まとめ

安全運転管理者の概要と業務内容について紹介しました。

安全運転管理者は従業員に安全運転を促し、交通事故が起こらないように管理する責任のある重要な役割を担っています。

その反面、業務内容が多岐に渡り、1つでも怠ると罰則になる可能性のある厳しい仕事でもあります。

安全運転管理者のこうした業務負担を軽減するGPSを用いた「車両動態管理システム」をはじめとした車両管理システムで、より効率的に安全管理を徹底することができます。

 

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