AI開発

【AI開発企業が解説】自治体のAI活用メリットと事例まとめ。

人口減少や少子高齢化、地方創成など多様な課題を残す自治体…

こうした課題解決のため、総務省は「自治体DX推進手順書」を作成するなど業務生産性の向上や住民サービスの質向上に向けた施策が打たれています。

自治体におけるAIの導入メリットや事例を紹介します。最後までお読み頂くことで自治体にAIを導入することによる未来を垣間見ることができるでしょう。

AIが自治体に注目される理由

自治体においてAI導入やDXが推進される背景には以下のような課題があるためです。

  • 人口減少や高齢化による人手不足
  • 災害や緊急事態時の対応力不足
  • 住民の多様なニーズや要望に応えるサービス提供の困難さ
  • 統計データの保有や分析に関する技術的なスキル不足
  • 行政間の情報共有や連携に関する課題
  • 紙ベースの業務によるデータの取り扱い・管理に関する課題

総務省の「令和4年地方公共団体定員管理調査」によると平成6年の自治体総職員をピークとした場合、令和4年度の総職員数は48万人(15%)減少しています。

画像出典:総務省「令和4年度地方公共団体定員管理調査結果の概要」より

さらに少子高齢化や厳しい地方財政などの状況下において自治体職員の業務は多様化しており、その負担も増大しています。

こうした課題を解決すべく、政府は自治体に対して「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進」を図るよう呼び掛けています。しかし都道府県レベルではDXが進んでいますが、市町村レベルで見るとまだDXに向けた方針も決まっていないというのが現状です。

総務省の「自治体DX・情報化推進概要」を見ると、DX推進のための体制構築は都道府県では約9割が「構築している」と回答していることに対し、市区町村では約7割が「構築していない」と回答しています。

画像引用:総務省「自治体DX・情報化推進概要」より

今回はDXの中でも「AI」に注目し、自治体のAI導入事例を紹介します。

自治体にAIを導入するメリット

自治体にAIを導入するメリットには以下のような点が挙げられます。

  • 高い精度でのデータ集計、分析可能
  • 市民サービスの向上 – 災害や緊急事態時の対応力強化
  • 省力化による業務の効率化
  • 防犯効果の向上
  • 観光振興への活用

AIの活用方法としてはチャットボットやAIカメラの活用など様々なシーンが考えられます。各メリットにおいてどのような事例があるのか解説します。

 

高い精度でのデータ集計、分析可能

AIを導入するメリットの1つとして「高い精度でのデータ集計、分析可能」ということが挙げられます。例えば、ある自治体が交通渋滞を緩和するために、交通量データを収集して分析するとしましょう。

従来の方法では、交通量を監視するために人員を配置して人力でデータ収集を行う必要があり、精度や集計時間に限界がありました。

調査をするために必要な人件費や時間、ヒューマンエラー等も考えると従来のやり方は決して効率的なやり方ではありません。

しかし、AIを導入することで、交通量を自動的に監視し、リアルタイムでデータを収集することが可能になります。例えば交差点ごとにカメラを設置し、AIが車両数や走行速度を算出することや行き交う人々の属性(男女、年齢層など)を検知することが可能です。

こうした収集されたデータはAIが自動的に分析し、交通量が増加する時間帯やルートなどの傾向を把握することができます。それだけでなく、お祭りなどのイベント日や帰省シーズンなどの交通量データも分かればイベント運営の重要な指標として活用も可能になるでしょう。

このように、AIを導入することで、データ収集・分析にかかる時間やコストを削減することができるだけでなく、より正確なデータを得ることができるメリットがあります。

自治体にとっても、より効率的で正確な政策立案や施策の実施が可能となり、市民にとってもより利便性の高い社会を実現することが可能となります。

AI活用例

市民サービスの向上

AI導入によって「市民サービス」が向上することも挙げられるでしょう。AIによる市民サービスには例えば以下のような点が挙げられます。

AIによる行政サービスの自動化

行政サービスには書類の提出や手続きなどがAIを導入の導入により自動化し、より手軽かつ迅速な行政サービスを受けることが可能になります。 例えば、自動音声システムやチャットボットなどのAI技術を活用することで、身分証明書や住民票の発行などの手続きを24時間受け付けることができます。

また、AIによる書類の分類や検索システムを導入することで、市民が必要な情報や書類の検索を迅速に行うことができます。

市民ニーズの把握と利用者体験の改善

AIを活用することで、市民ニーズの把握や、利用者体験の改善が可能となります。例えば、市役所の窓口に設置したAI受付を市民が利用することで市民が抱える問題や要望を自動的に収集することができます。

また、市民が交通機関や公共施設を利用する際に、AIによる案内やおすすめスポットの紹介などが行われることで、市民の利用者体験が向上するとともに、自治体と市民のコミュニケーションが深まります。

AI活用例

災害や緊急事態時の対応力強化

AIを活用することで、防災・安全対策を強化し、市民の安心・安全を確保することができます。例えば、以下のような事例が挙げられます。

自治体にAIを導入することによって、災害や緊急事態時の対応力を強化することができます。例えば、以下のような事例があります。

交通制御システムの導入

大規模災害や緊急事態時には道路が混雑し、交通規制による渋滞が発生する場合があります。しかし、AIを活用した交通制御システムを導入することで、交通の円滑化をはかることができます。

例えば、複数のカメラから入手した映像をリアルタイムで解析して、渋滞が発生している場所や原因を特定し、自動的な交通制御や迅速な指示対応を行うことができます。

避難指示の配信

災害や緊急事態時には、迅速かつ正確な避難指示が必要です。自治体では、AIを活用した避難指示システムを導入することで、避難指示をより速やかに配信することができます。

例えば、自治体が運営する公共施設や学校に設置したスピーカーから、防災情報を自動的に流すことができます。

また、地震や津波などの自然災害が発生した場合には、AIが自動的に被害状況を分析して、適切な避難指示を出すことも可能です。 SNS等を活用した避難者から避難状況のデータを収集すれば、これを活用し、遠隔で正確な情報共有も可能になることでしょう。

防災対策の立案

自治体では、災害対策のために防災計画を策定していますが、AIを活用することでより的確な防災対策が立案できます。

たとえば、過去に発生した災害データをAIが解析し、将来の災害に対して最適な対策を提案することができます。 また、地震の発生を予測するAIを活用して、安全な建物や避難場所の指定などを行うことも可能になるでしょう。

AI活用例

省力化による業務効率化

自治体にAIを導入することで、職員の業務効率化が期待できます。例えば、以下のような事例があります。

消防署の活動記録管理の自動化

従来は、消防署職員は活動記録を手書きで記入し、データ入力を別の職員が行う必要がありました。しかし、AIを導入することで、活動の内容を音声認識や画像認識で自動的に記録することができます。これにより、手書きでの記録作業やデータ入力作業の手間を省き、職員の業務効率化が図れます。

またデジタルで管理されるため、過去の出動履歴も特定キーワードを指定することで調べやすくなります。これまでは紙ファイルで管理されたものから探し出す必要がありましたが、その必要もなくなり業務効率化が図られ、より迅速かつ正確な情報共有が可能になります。

活用事例

行政手続きの自動化

自治体の行政手続きには、書類の提出や対面での手続きが必要となりますが、AIを導入することで、書類の自動生成やオンラインでの手続きが可能になります。これにより、職員が手続きに費やす時間を削減し、より効率的な業務を行うことができます。

自治体の行政事務や福祉事業など、顧客からの問い合わせや申し込みが多い業務では、電話やメールで行われる問い合わせへの回答に職員の多くの時間が割かれています。こうした業務でも、自動応答システムを設けることで、代表的な問い合わせに対する自動応答をすることで、職員の時間を利用可能にすることが可能です。

生活保護の申請者数や出生・死亡等の登録変更について、職員の代わりにAIが自動応答することで、業務のスピードアップやエラーの削減も期待できます。

防犯効果の向上

街中の監視カメラにAIを導入することで防犯効果を高めることに期待できあmす。

例えば不審者や異常な行動を取る人物を自動で検知することで犯罪を未然に予防することが可能になります。他にも車上荒らしや万引きなどの犯罪行為もその予兆となる行動をAIに学習させておくことで自動検知が可能になります。

車上荒らしであれば、車のドアの前で回りを確認しながら長時間滞在する場合は異常行動としてアラームを出すことが考えられます。

万引きであれば本来周囲を何度も見渡し、買い物かごに入れない動作を行うと施設管理者に通知するなどの仕組みが考えられます。

以上の事例から、AIを利用した防犯システムが、犯罪の早期発見・防止に大きな効果を発揮することがわかります。自治体がAIを導入することで、防犯対策を強化し、住民の安全を確保することができます。

観光振興への活用

近年、AIの普及に加えて、観光業においても技術の進化が見られるようになりました。自治体においても、AI技術により観光振興に活用可能です。

観光客への情報提供最適化

例えば、旅行先で食事を探す際に、インターネット検索で情報を得ることが一般的です。しかし1から情報を調べるには、情報量が多すぎる、信頼性が不透明なことがあります。

しかし、AIを活用した現地観光案内サービスを提供することで、信頼できる情報を効率的に提供できると期待されます。

例えば行きたい場所のジャンル(食事か宿泊か温泉か)などを選択式に回答していくことでAIがオススメのスポットを紹介しています。 その上、AI技術は観光地の安全確保にも役立てることができます。

自治体が導入するセンサーやカメラなどのセキュリティーツールにAIを組み合わせることで、異常な動きを早期に検知することが可能になります。また、過去の事件・事故に関するデータを蓄積し、予防策に活かすこともできます。

観光地のマネジメント最適化

自治体が保有する観光地では、人出や混雑状況が管理しにくいことがあります。しかし、AIを活用することで、観光客の滞在時間や居場所を把握し、観光客にとって最適な観光地の管理が可能になります。

また、人流データを活用して観光地の施設やサービスの最適化もできるため、観光客の満足度が向上することが期待できます。 遠隔で混雑状況を伝えることで交通の渋滞情報や歩道の混雑状況もより正確になり、シーズンごとの集客に偏りがないようになるなどの期待効果があります。

観光客の誘致・定着の促進

AIを活用することで、観光客の興味を引きつけるプランやイベントの提案ができます。

例えば、ある自治体は、AIを用いて地元の観光資源を自動的に解析し、観光客に対してオススメのルートや観光スポットを提案するシステムを開発しました。このシステムを通じて、観光客も興味を持ち始め、自治体の観光振興につながっています。

例えば、イベントの周知用の広告を打ち出す際にも事前に観光客の興味度合いが分かるデータがあれば、決め打ちで広告デザインを決めるのではなくデータに基づいた広告を打てるようになります。 これにより広告にかけた費用対効果がより高まることでしょう。

AI活用例

まとめ

自治体にAIカメラが導入されることにより、生産性や業務効率が上がり、市民の生活満足度が向上することでしょう。近年では日本でもDX推進が図られていることから、自治体にAIカメラが導入されることも遠くない未来になることでしょう。

しかし現状ではひとくちにAIカメラを導入すると言っても超えらなければならないハードル(デメリット)があります。

  • 購入コストが高い
  • 支払ったコストに見合うかが分からない
  • 本当にやりたいことが既存のAIカメラでは不可能

今回挙げた事例のように、AIで出来ることは多くありますが実際にやりたいと考えても、新たにAIカメラを導入するコストやそもそもAIカメラに欲しい機能が備わっていないケースが考えられます。

エッジAI開発ならあらゆるニーズに対応可能

弊社事業の1つでもある「AI開発」なら自治体のあらゆる画像解析ニーズにも対応致します。新たにAIカメラを導入する必要はなく、ネットワークカメラにエッジと呼ばれる端末を装着することでAIカメラ化することが可能です。


AI自体はアルゴリズムから開発するため、お客様の要望に合わせたAIをカスタマイズ開発することが可能です。

自治体のAI提案事例を下記にてご案内しておりますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。

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